君とみたあの夏の流星群。

今だに、全身の鏡の前で浴衣を着るのに、もたついている樹の横で、俺は、スルスルと帯を結んで、浴衣に着替え終えた。


「ちょ!碧都、お前、もう、着替え終わったのかよ!」

まだ、帯を片手に持ちながら、樹は俺のことを見て、少しテンパリ出す。


「はぁ……教えるけど、自分でやれよ」


口頭でやり方を説明しながら、ようやく、樹も浴衣に着替え終わる。


「サンキュー!碧都!!」


喜びながら、全身の鏡の前で決めポーズをとる樹とは反対に、俺は、半分呆れ気味に返事をした。


「はぁ……どういたしまして」


樹は、ハッと思い出したような顔をして、

「あっ、そうだ。七瀬さん、浴衣着てくるってよ」


「……そう」


平然を装ってるけど、内心、星祈の浴衣姿を見れることに、嬉しくなる。


きっと、星祈ならどんな浴衣でも似合うと思うけど……


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