君とみたあの夏の流星群。

星祈は、少し顔を赤くして小さな声で話しかけてくる。


「……あ、碧都も浴衣着てきたんだ」


「……うん」


小さい頃だって、星祈が浴衣を着ている姿を何度か見たことはあった。

でも……
今となっては、ろくに顔を見ることも出来ない。


それに、浴衣姿の星祈を誰にも見せたくない。そんな欲まで出でくる。


はぁ…。

好きだと自覚してから、いつ、理性が飛んでしまってもおかしくないくらいに、余裕がない。


星祈は、俺のことを幼なじみとしてしか思っていないだろうし…。


星祈が俺と同じ気持ちだとは限らないわけで、もし、告白なんかしたら……

きっと……
星祈のことだから、俺に気を遣う。
でも、結局、俺とどう接すればいいのか分からなくなって、困る星祈の姿が想像がついた。


だから、星祈を困らせたくはない。

でも、それは、言い訳で……

幼なじみの距離感では満足出来ないと分かってるのに、"幼なじみ"の関係が壊れるんじゃないかと思って、
行動に移せない。そんな、情けない自分にイラつく。

< 116 / 349 >

この作品をシェア

pagetop