君とみたあの夏の流星群。
でも、せっかく抜け出して来たんだから、少しでもいいから碧都の執事服姿を見ておかなくちゃ!
少し強引に、お客さんの隙間を謝りながら通り抜けていく。
「あっ、碧都!」
チラッと教室を覗き込めば、グレーみがかった色の執事服を着こなした碧都の姿を見つけた。
碧都は、席に座る女のお客さんに、軽く会釈をしてから、微笑むと……
笑顔を向けられたお客さんは、頬を赤らめてうっとりとした表情で碧都を見つめる。
「……っ!」
ズキズキと胸が痛み出す。
頭では、碧都がモテるのは仕方ない。そう理解していても、嫉妬してしまう。
私は、いてもたってもいられなくなる。
「あっ」
一瞬、碧都と目が合った気がしたと思った途端、碧都は、真っ直ぐこっちに向かってくる。