君とみたあの夏の流星群。
□□□


「っおい!皐月。次、移動教室だけど行かねぇのか?」


トンと机を軽く叩く音がして、俺は読んでいた医学書から目を離した。


いつの間にか、クラスメイトのほとんどが教室を移動してたらしく、気を利かせた結城が声をかけてくれたってことか。


「結城、気を遣わせて悪かった」


「んなことはいいけどよ。つーか、お前、ずっと、何を夢中になって読んでんだよ」


結城は、俺の読んでいた本を覗き込むようにして見てくる。


「はっ?!コレ全部、英語じゃねぇーかよ。しかも、海外の医学書じゃねぇーか!
…っ!もしかして、七瀬の病気深刻なのか?」


結城は声のトーンを抑え気味に聞いてくる。


「……星祈はまだ知らないけど、心臓移植の話が出てる」


「はっ、でも、薬での治療受けてんだろ?!」


「……このまま、薬での治療を続けていても効果はないらしい」


「…んだよ、それ」


俺は、自分の手を無意識に握りしめる。


「でも、俺は諦めるつもりなんてない!だから、今は俺に出来ることやるだけ」


「皐月……」

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