君とみたあの夏の流星群。
「どうか…っ、お願いします!」
「……実は、私も補助人工心臓の治療を考えていたんだ」
笹木先生からの言葉に俺は顔を上げる。
「たしかに、補助人工心臓は、国内よりも海外での実例が多くある。
そのうえ、医療技術も最先端を進んでいて、まだ、海外から学ぶことが多くあるのも事実。
もし、海外で治療を受けていれば、星祈ちゃんの病気が完治する可能性は高い。
でもね、碧都くん。これは簡単な話ではないんだよ」
簡単な話じゃないことは、分かっていたけど……
改めて、言われると自分がどれくらい無謀な話をしていたのかと、思い知らされる。
「もし、星祈ちゃんが海外で治療を受けるとしたら、海外での長期入院になる。
慣れない環境下での長期入院は、星祈ちゃんへの精神的ストレスにもなりかねない。
それに、治療費だって安くはない。そう考えると、現実的には厳しいものになってしまうんだよ」
「………」
ハッキリと笹木先生に言われ、俺は返す言葉が見つからない。
星祈の精神的ストレスを無くすことも、治療費を払うことも俺には出来ない…。