君とみたあの夏の流星群。

「どうか…っ、お願いします!」



「……実は、私も補助人工心臓の治療を考えていたんだ」


笹木先生からの言葉に俺は顔を上げる。


「たしかに、補助人工心臓は、国内よりも海外での実例が多くある。

そのうえ、医療技術も最先端を進んでいて、まだ、海外から学ぶことが多くあるのも事実。

もし、海外で治療を受けていれば、星祈ちゃんの病気が完治する可能性は高い。

でもね、碧都くん。これは簡単な話ではないんだよ」


簡単な話じゃないことは、分かっていたけど……


改めて、言われると自分がどれくらい無謀な話をしていたのかと、思い知らされる。


「もし、星祈ちゃんが海外で治療を受けるとしたら、海外での長期入院になる。

慣れない環境下での長期入院は、星祈ちゃんへの精神的ストレスにもなりかねない。

それに、治療費だって安くはない。そう考えると、現実的には厳しいものになってしまうんだよ」


「………」


ハッキリと笹木先生に言われ、俺は返す言葉が見つからない。


星祈の精神的ストレスを無くすことも、治療費を払うことも俺には出来ない…。

< 340 / 349 >

この作品をシェア

pagetop