君とみたあの夏の流星群。
漠然としか将来を考えていなかった俺に、星祈が目指すものをくれたと思ってる。
今日の大学での授業が終わり、荷物をバックに片付けていると、スマホから着信音が鳴った。
差し出し人は、おばさんからで。俺は、人影の少ない廊下へと移動し電話に出る。
【はい、碧都です】
【碧都くん!星祈がドナーが見つかったのよ!】
【…っ!ド、ドナーが?】
【えぇ、これから星祈は、すぐに手術を受けることになったわ。だから、早く、病院に来てちょーだい!!】
おばさんは、切羽詰まった様子でまくし立てるように口にして、電話が切れた。
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俺が病院に着いた頃には、星祈がこれから手術室に数人の看護師と共に、ベッドで運ばれていくところだった。
「星祈っ!」
俺は、星祈の名前を呼んで、運ばれていく星祈に付き添う。
「碧都、来てくれたんだ」
星祈は、落ち着いていた様子で俺の呼びかけに答えた。
「何言ってんの?来るのは当たり前だから」
星祈は「ふふっ、そうだよね。ありがとう」と、笑顔を浮べる。