きみは俺だけの彼女
「嶋村くんも迷惑かけてごめんなさい…」
自分の危機感の無さに落ち込んでるのか、他に何か考えてかはわからないが、か細い声は今にも泣きそうな声だった。
「……俺は別に迷惑じゃないよ」
「でも、迎えに来て、くれてありがとう」
泣きそう、じゃなくて泣いてる。
「俺らより奏波嬢に言って。雪姫を心配してすぐに空人に電話くれたから来れた」
「うん」
……さて、どうしよう。
雪姫が泣いてる。
こういう時は空人の出番だと思うが、空人はコンビニの店の中。
まだそこまで寒くないとはいえ、冬も近づくこの時期に雪姫は制服だけで数時間も外を彷徨いていた。
空人がすぐに着ていた薄手の上着を脱いで雪姫に着させ「店で温かいもの買ってくる」と一人で行ってしまった。