きみは俺だけの彼女

多分、空人は責任を感じてるんだろう。
いつものように雪姫をちゃんと送ってやれなかった責任と、雪姫が家に帰らず悩みながら外を彷徨いた原因。


責任と気まずさで雪姫に声をかけられないのかもしれないが…。



店の中で電話してんじゃねーよ!
いつまで雪姫を肌寒い外に放ったらかしにしてんだよ!
雪姫が泣いてるんだからさっさと来いっ!



と念じながら店内の空人を軽く睨む。



とにかく……
今は雪姫だ。

何か……話……



「お嬢から電話あった時、俺、空人と公園にいたんだ。
空人が雪姫のことで話がある、って俺ん家に来たから外で話してた」


「……私のこと?」


「そう。雪姫を怒らせた、明日雪姫に無視されるかも、と言ってた。
……もしかしてそれで雪姫も悩んで外を彷徨いたの?」


怒らせた原因の中に俺が含まれているのを知りながら、
それでも知らないふりで雪姫を諭す。



「雪姫はなんで空人とケンカしたの?」

「…ケンカじゃないよ。一方的に私が、思ったこと、言った……」

少し納まっていた涙がまた溢れ出す。


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