きみは俺だけの彼女
「そ、それで嶋村くんに、頼みたいことが……」
今度は少し顔を赤くして恥ずかしそうに言い淀む。
そんな可愛い顔で頼み事なんて、話を聞く前にいいよと返事したくなる。
「何?」
わざと身を乗り出して顔を近づける。
「今度、空人がいない時は嶋村くんと一緒に帰ってもいいかな?……コンビニまででいいから」
「コンビニじゃなく家まで送れるならいいよ」
「あ、ありがとう。じゃあお願いします」
律義に頭を下げてお願いする雪姫。
こっちとしては今後雪姫が一人で帰ろうとするならば、空人に頼まれなくてもストーカーと思われても雪姫を見送るつもりでいたから喜んで承諾した。
ただ、内心で、
俺の彼女役になりたくない、と言って泣いた話を思い出す。
雪姫は何を思って俺に頼んだのかが気になって仕方無かった…。