きみは俺だけの彼女
雪姫が家に入ったのを見届けた俺は二人に振り返る。
「それじゃ、陸…」
「待てよ嶋村」
陸人さんに声をかけて帰ろうと思ったのに海人に引き止められた。
「お前、どこかで聞いた名前だと思ったら、雪姫から弓道奪った奴だったのかよ」
海人が俺の制服のブレザーを掴み上げながら睨みつけた。
「…弓道」
思い出したのは空人の話。
雪姫が弓道を辞めたときの話だ。
空人は俺の名前を聞いてすぐ思い出したと言っていたが、コイツも俺のこと聞いていたのか。
「海人。手を離せ」
海人の雰囲気で察していたのか、いつの間にか俺と海人の間に陸人さんが割って入り、海人の手首を掴み凄みをきかせる。