きみは俺だけの彼女
「お前ら静かにしろよ。ホント無駄に目立つ奴らだな」
また別の声が聞こえて見上げると佐藤と嶋村くんが立っていた。
いつの間にか空いていた隣の小さなテーブルをくっ付けてイスも動かす佐藤。
海人の隣に佐藤が座って、嶋村くんが私の……隣っ!?!?
思わず固まる。
「出来たよ雪姫♪めちゃ可愛い♪」
私の髪をいじってた奏波が嬉しそうに声を上げた。
置いてあった鏡を覗きこんで納得する。
自分の顔はスルーして、髪型だけはなるほど渾身の力作だ。
サイドを緩く編み込み、コテで毛先をクルクル巻いて、全体的にふんわり感のある髪形に仕上った。
「雪姫可愛い♪髪がふわふわだね」
空人が横から覗き込んで即写メる。
「なんかいつも以上に姫っぽくなったな」
海人は手を伸ばして頬にかかる髪に触れる。
「ちょっとあんた!汚い手で雪姫に触るなっ!」
奏波はまだ熱そうなコテを海人につき出す。
「……斎藤の髪って柔らかいんだな」
!?!?
……嶋村くん、が…指で私の髪をくるくるって……!?
「俺も……熱っっ!」
佐藤は奏波のコテの餌食となった。
「……勉強させてください」
店内中の注目を浴びてる気がして身を縮めた。