きみは俺だけの彼女
「それで?雪姫は佐藤に何を聞いてたんだよ」
面白くなさそうに空人が後ろから声をかけてきた。
「あ〜。『斎藤と嶋村が付き合ってる』って噂話だよ」
もう一度はっきりと佐藤に言われて内心でドキッとするが、気にしてないフリをして歩き続ける。
「…なんで朝っぱらからそんな噂の話になったんだよ」
空人の怪訝な声。
まるで噂話は知っていたかのような口ぶりだから少し気落ちした。
やっぱり知らなかったのは私だけなんだ…
自分の鈍さに嫌気がさした。
「ってかさ、この状況おかしくね?」
佐藤の一言に誰も何も言わない。
「俺が斎藤に話しかけただけで空人にキレられるとか、俺の横に斎藤がいるとか、お前ら何かあったのか?」
「……お前こそ、はぐらかしてんじゃねぇよ。なんでわざわざ雪姫に話したんだよ」
なんか、険悪な感じがしてきて私は後ろの二人を見ることが出来なかった。
深いため息をついた佐藤はチラリと横を見た。
「な?言った通りだろ?」
私に向かって投げた言葉。
「うん。」