きみは俺だけの彼女


奏波には全て話した。




嶋村くんに告白されたこと。

旅行の帰りに陸兄に会って失言したこと。

今朝、佐藤に噂を聞いたこと。

海人が嶋村くんを気にしてること。

陸兄と佐藤に似た助言をされたこと。





「だからね、彼女役を全部降りるって決めたの」

「そっか……は?全部!?」

「うん」

「……嶋村も?」

「役は降りる。けど、役じゃなくて……ちゃんと彼女に、なりたい……かな…って」

自分で決めたとはいえ、ちゃんと彼女になれる自信もなくて声が小さくなる。



「雪姫、嶋村に告られたんだよね?なんでそんな弱腰なの?」

「だ、だって、彼女とか、なったことないし……彼女役の噂を全部消したいけど、どうすればいいか……」

「噂を消すのは簡単でしょ?」

「……簡単?どうやって?」


噂を消す方法なんてあるのかと思わず奏波を見つめる。

すると、奏波はニヤリと笑う。



「嶋村とイチャイチャする」

「……は?」



「だから〜イチャつくの♪そうすれば彼女になれるし、噂も消える。一石二鳥♪」

「む、無理っ!だって嶋村くんはそんなこと……」

「言えば喜んでやりそうだけどなぁ?」




言えば……?

なんて……?




噂消す為にイチャついてなんて言えるわけないでしょっっ!


< 163 / 263 >

この作品をシェア

pagetop