きみは俺だけの彼女
奏波には全て話した。
嶋村くんに告白されたこと。
旅行の帰りに陸兄に会って失言したこと。
今朝、佐藤に噂を聞いたこと。
海人が嶋村くんを気にしてること。
陸兄と佐藤に似た助言をされたこと。
「だからね、彼女役を全部降りるって決めたの」
「そっか……は?全部!?」
「うん」
「……嶋村も?」
「役は降りる。けど、役じゃなくて……ちゃんと彼女に、なりたい……かな…って」
自分で決めたとはいえ、ちゃんと彼女になれる自信もなくて声が小さくなる。
「雪姫、嶋村に告られたんだよね?なんでそんな弱腰なの?」
「だ、だって、彼女とか、なったことないし……彼女役の噂を全部消したいけど、どうすればいいか……」
「噂を消すのは簡単でしょ?」
「……簡単?どうやって?」
噂を消す方法なんてあるのかと思わず奏波を見つめる。
すると、奏波はニヤリと笑う。
「嶋村とイチャイチャする」
「……は?」
「だから〜イチャつくの♪そうすれば彼女になれるし、噂も消える。一石二鳥♪」
「む、無理っ!だって嶋村くんはそんなこと……」
「言えば喜んでやりそうだけどなぁ?」
言えば……?
なんて……?
噂消す為にイチャついてなんて言えるわけないでしょっっ!