きみは俺だけの彼女
「……雪姫?」
名前を呼ばれビクッと体が反応する。
俯いたまま、返事も出来ない。
「……陸人さんと来たのか?」
問いかける声が私を責める。
陸兄に、嶋村くんが道場に来るように頼んだのは私だから。
途端に一度止まった涙が堰を切った。
「雪姫?」
心配するような呼び方に安心してしまいそうで無理やり目をぎゅっと瞑る。
徐々に近付く嶋村くんの気配を感じたらもう無理だった。
「……え?雪姫!どうした?なんで……」
肩にそっと置かれた手の温かさに懺悔するしかなかった。
「……ごめ、なさぃ」
声を出したら止まらなかった。
「嘘、ついて、ごめ、んなさい」