きみは俺だけの彼女


「ごめんなさい。……もう帰る」



大好きだった神聖な場所。

その場所を部外者の自分が侵すなんて。



自嘲した。



どうにか立ち上がりそのまま帰ろうとした。

一刻も早くこの場を去りたかった。




「雪姫っ!」



射場を出たところで腕を掴まれた。

反射的に振り解く。



「……帰る」

私はこの場に相応しくないから。




「雪姫っ!」

今度は強く腕を引っ張られた。

「今だけでいいから、俺の言う事聞いて。一人で帰るな。今すぐ帰りたいなら空人を呼ぶからそれまでは大人しくここにいて」



そう言って私の腕を引いて歩きだす嶋村くん。




"俺の言う事聞いて……空人を呼ぶから“

言われた言葉が胸に刺さる。





……空人が来るの?

……私が空人を選んだと誤解されてるの?


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