きみは俺だけの彼女



「そしたら金曜の夜に行くしかなくね?」

「それでもいいけど牧場は土曜の午後よ?午前中ずっと別荘?」

「でもそれだと日曜はどうするんだ?丸一日空くだろ?何処か日帰りか?」

「決まってるのは誕生日当日だけ。あの喫茶店押さえといたから」



何気なく言うお嬢だが、俺と同じように空人も気になったようだ。



「押さえた?」

「当然でしょ。雪姫の誕生日を邪魔されたくないわ」


さも平然と奏波嬢は言う。


「あそこに海人は来ないだろ?まだバレてないはずだ」

「……誰が海人だなんて言った?」


お嬢は面倒くさそうにわざとらしくため息をついた。


「あんたが気付いてないはずないわよね」

お嬢に一瞥された空人は何かに気付く。



「ここんとこ、あの喫茶店は若い女性達で満員御礼だそうよ」

女性……空人……なるほど。空人狙いが通いつめてるのか。



「席をキープしたところで、楽しくお祝いしてるときにあんたらが他の女に声かけられたら雪姫が気にするでしょ」



あんたら?

……俺も入るのか。それは面倒だな。


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