きみは俺だけの彼女
「だからって今から他の店を探す余裕ないのよ」
「だとしても、さすがに雪姫は引くんじゃね?」
空人の言葉に珍しく反応するお嬢。
「でも、押さえただけで料金は食べた分だけよ。多分大丈夫よ」
……雪姫に引かれるってことを気にしたのか。
お嬢の弱点は確実に雪姫だな。
……使えない弱点だな
「食べた分だけ?……あの店、お嬢んとこのなのか?」
「まあ、遠からずってとこね。店長はうちのパパの部下だった人よ。」
「……あの店長、一流企業の上層部を辞めて喫茶店のマスターやってんのか?すげぇな……」
「だから、お礼言われたの。イケメンのお友達のお陰で満員御礼です。今後もお二人にはご協力頂きたい、ですって。がんばってね」
……何を頑張るんだ?
「もしかして、俺らを差し出した見返りが貸し切りなのか?」
なるほど。
さすが空人、冴えてるな。
「ご名答。でも、差し出したつもりはないわ。今後も今まで通り、たまにご飯食べに行くだけよ。私と雪姫がいるなら平気でしょ?」
「……それだけでいいのか?」
「……なんなら二人だけでご飯食べに行って来てもいいのよ?」
「……」
「……」
「とにかく、そんなことより予定早く決めましょ」