きみは俺だけの彼女

「だからって今から他の店を探す余裕ないのよ」

「だとしても、さすがに雪姫は引くんじゃね?」


空人の言葉に珍しく反応するお嬢。



「でも、押さえただけで料金は食べた分だけよ。多分大丈夫よ」


……雪姫に引かれるってことを気にしたのか。

お嬢の弱点は確実に雪姫だな。

……使えない弱点だな




「食べた分だけ?……あの店、お嬢んとこのなのか?」

「まあ、遠からずってとこね。店長はうちのパパの部下だった人よ。」

「……あの店長、一流企業の上層部を辞めて喫茶店のマスターやってんのか?すげぇな……」

「だから、お礼言われたの。イケメンのお友達のお陰で満員御礼です。今後もお二人にはご協力頂きたい、ですって。がんばってね」


……何を頑張るんだ?


「もしかして、俺らを差し出した見返りが貸し切りなのか?」



なるほど。

さすが空人、冴えてるな。



「ご名答。でも、差し出したつもりはないわ。今後も今まで通り、たまにご飯食べに行くだけよ。私と雪姫がいるなら平気でしょ?」

「……それだけでいいのか?」

「……なんなら二人だけでご飯食べに行って来てもいいのよ?」


「……」
「……」



「とにかく、そんなことより予定早く決めましょ」


< 179 / 263 >

この作品をシェア

pagetop