きみは俺だけの彼女

ああ見えて雪姫は頑固だからな。



大好きだった弓道を辞めた後は一度も道場に行ってないと聞いた。

唯一親友のお嬢にも、物は要らない遊ばないと強く拒否したからお嬢は戒めにしてる。



そう考えたら腑に落ちない点が一つだけある。



空人も言ってたが、弓道を辞めたあとの雪姫の姿だ。

何もかも諦めたような雪姫。

そのせいで俺も避けられてると思った。

同じクラスになっても避けられた。



マックで勉強会に合流したとき、隣に座った俺を頑なに無視してた。

旅行に来ても最初はそんな感じがした。

俺が声をかけても雪姫は微妙な顔をした。




空人が俺の名前を聞いてすぐ俺に気付くくらいだ。

きっと、雪姫が俺の名前を言ったらすぐに気付く。



同じクラスになった俺を、あの空人が半年近くも気付かないほど俺を避けてたってことだ。

空人が俺に気付かなければ、今も俺は雪姫に避けられ続けたのかもしれない。




……俺は一体何をしたんだ……?



何度も何度も中学の頃の自分を思い出す。

転校してきた時から雪姫が辞めるまで1年足らず。



道場に行けば必ず雪姫がいた。

いつも一番乗りだった雪姫。

たまに俺が早く行って先に射ってた時は見取り稽古だと言ってずっと座っていた雪姫。

夏以降から一緒に帰るようになった雪姫。



鮮明に思い出すのは、雪姫の楽しそうな笑顔だ。


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