きみは俺だけの彼女



バーテンダーなんて知らねぇよ……。



とは言え、別荘を提供してくれたお嬢の機嫌を損ねる訳にもいかず適当に合わせる。



お嬢、大爆笑だな……。



視界の隅で雪姫を見ると喜々とした姿が映る。

雪姫が喜ぶならと調子づく俺も相当なバカだ。





ビリヤードは佐藤達と何度かやったが嫌いではない。

弓に似た所があるからやり始めるとついムキになる。



そのせいで空人に勝ってしまったのでチーム戦はお嬢と組むことになった。

ただの遊びだから誰と組んでも異論は無いが、そのせいで自分の醜態に気付く羽目になるとは思わなかった。



当たり前だが、雪姫と空人は幼馴染みだ。
仲が良いのは最初から知ってる。


わかっていたはずなのに。



雪姫が空人に耳打ちした。

空人も耳打ちで返す。

その親密な姿を見て、急に苛立ちを覚えた。



なんで内緒話なんだ?

俺や奏波嬢に話せないような事なのか?



一度気になり始めると駄目だった。

自分の中で、雪姫と空人は幼馴染み、と言い訳出来なくなっていた。



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