きみは俺だけの彼女



ランニングで眠気を覚まして別荘に戻ると驚いた顔の雪姫がいた。


……雪姫?あまり寝てないのか?

ふと思った俺より先に空人が動く。



「雪姫こそ早いね。ちゃんと寝た?」

声をかけて雪姫の頬に触れた空人。



そして、何故か雪姫の顔が赤く染まる。




…………。




突然、言いようの無い不安に駆られた。



今まで雪姫が他の奴にそんな顔したのを見た事なかった。




空人を意識したのか?





部屋に戻る途中の空人の顔は初めて見た顔だった。

「……正騎、俺、ミスったのかな……」

ポツリと一人言のように呟く空人の後悔がなんとなく分かった。

「……かもな」






シャワーを浴びて無心になろうとするが無理だった。

さっきの雪姫の顔が頭から離れない。




牧場に行きたいと話した帰り道。

あの時、一緒に馬に乗ろうと約束した時の雪姫はもっと顔が赤かったのに……。



今まで兄弟のように育った空人が抱きついても顔を近づけても当たり前のように振る舞っていた雪姫が空人を意識したのなら……。









シャワーの音が虚しく響いた。







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