きみは俺だけの彼女
気づけば牧場が見えた。
牧場が見えただけで気持ちが高揚した。
我ながら現金な奴だ。
逸る気持ちのまま手早く用意を整えて馬を引く。
雪姫を馬に乗せるとすぐに自分も飛び乗った。
雪姫と二人きりの時間に浮かれた俺は馬を歩かせてから雪姫の異変に気付いた。
声をかけたら真っ赤になって鞍の上で小さく縮こまる姿。
再び気分が高揚する。
まわしていた腕に力を込めて抱き寄せ問い詰める。
からかうな、と言われても、反応が嬉しくてつい空人を引き合いに出した。
空人みたいに慣れてくれるのか?
「そんなの嶋村くんじゃない」と言われて嬉しくて笑い出したら止まらなくなった。
雪姫の笑い顔が目に焼き付く。
やっぱり雪姫が好きだ、と。