きみは俺だけの彼女
「お前ら痴話喧嘩なら外でやれよ。無駄に目立つんだから」
後ろから掛けられた声に振り向いた。
そこには同じクラスの佐藤と嶋村くんがいた。
ドキッ。
一瞬の胸の鼓動を無視してすぐに視線を変えた。
「なんだ佐藤か」
「俺で悪かったな。お前は目立つし邪魔。さっさと歩け」
そう佐藤に促され素直に歩きだした。
自然と私の右に空人が並び歩く。
空人は確かに目立つ。
地毛で何も染めていない髪はサラッとした明るめの茶色。
1つ年下のくせにとっくに抜かれた背は高く、いつも柔和な笑みの顔は日本人離れした美男子。
ようはイケメン。
そして私の左を歩く奏波もまた目立つ。
一見したらどこかのモデルかと間違われるスラリと細い身体にバービー人形のようなはっきとした目鼻立ち。
漆黒のサラサラした長い髪は同じ女から見ても羨ましいほどの美少女。
どちらか一人でも目立つのに二人並ぶと雑誌の撮影が始まるのかと勘違いされるくらいなのだが、私が間に入ると中和される。
それくらい地味で貧相な私。