きみは俺だけの彼女
陸人さんに話しを振られて声を出せば空人と返事がカブる。
何事もなかったようにそのまま話す俺と空人。
普通に話す分には空人とは話しやすい。
これが雪姫の事になるとそうもいかないが。
そんな俺等に何かを感じたのか、陸人さんが雪姫に話しを振った。
俺と空人、どちらが本命か。
本気で陸人さんが怖いと思った。
弟にも容赦ない一言。
そして雪姫の自虐的な返事。
俺も、空人も、陸人さんさえも一瞬で凍りつかせた言葉。
………雪姫は彼女役に縛られてるのか?
だから、俺の彼女役は嫌がったのか?
そうだ。普通に考えたら誰だってそんな面倒なことやりたいわけない。
本当はきっと誰の彼女役もやりたくないんだろう。
陸人さんは雪姫を連れて俺等と離れた所で雪姫と話す。
でも、雪姫の顔はやっぱり冴えない。
いつもは優しく笑って雪姫の頭を撫でる陸人さんが、
笑みもなく本気で雪姫を抱きしめた。
陸人さんが去ったあと、俺は空人に声をかけた。
「それじゃ俺も帰る。雪姫をよろしくな。明日、何かあればすぐ連絡しろよ」
一方的に告げて背を向けた。
雪姫には声もかけずに。