きみは俺だけの彼女
空人とカラオケボックス。
「二人でゆっくり話せるだろ?」
と押し切られ人生初、野郎と二人カラオケ。
「で、話ってなんだよ」
部屋に入ってすぐに切りだした。
「そんな分かりきったこと聞く?」
ヘラッと笑う空人に一抹の不安が過った。
が、コイツの今の状態も気になる。
「お前、何かあったのか?」
気になったから聞いただけだが空人は何故か俺を見てため息を吐く。
「俺のことを聞く前に雪姫のことは聞かないのか?」
少し苛立つような言い方で問い返された。
「熱を出したんだろ?寝てる雪姫の何を聞けばお前は気が済むんだ?」
思わず言い返す。
「俺が言いたいのは雪姫が心配じゃないのか?ってことだよ。昨日の帰りの態度はなんだよ」
「………」
「正騎、今更逃げようとしてるんじゃないだろうな?」
そう言って俺を探るように睨む空人。
逃げるつもりなんてない。
俺はもう雪姫に気持ちを伝えた。
でも、その事をコイツに言うつもりはない。
俺もため息を吐く。
「そんなつもりねぇよ。ただ、昨日の雪姫は俺を見てなかったからな。一緒に馬に乗っていても俺の声が聞こえてなかった」
「………お前、言ったのか?」
「言えるわけないだろ」
咄嗟に嘘をついた。
コイツにバレるかもとは思ったが正直に言いたくなかった。
すると空人はテーブルに置いてあったマイクを掴んで俺に向けた。
「さっさと告れ」