きみは俺だけの彼女


それでも腑に落ちない点を思い切って聞く。



「だったらなんでビリヤードの後、お前はずっと無言だったんだ?」


その問いかけにだけは苦い顔をして頭を抱えた空人。




その時、追加注文が届いた。

届いたポテトを食べながら空人は話し出す。

「それまでは割り切ってたつもりだったんだよ。でも、割り切れてなかった。今まで雪姫の周りでこんな事なかったからな。
………あの時、正騎に声をかけなきゃ良かったと思ったんだよ」



今までずっと雪姫を好きな事を隠しながら、雪姫のすぐ近くに居続けた空人の言葉は重い。



多分そうだと思ってた事をはっきりと空人に言わせてしまった自分の浅ましさに嫌気がさした。



「俺は……お前と海人を見て、雪姫が選ぶのはお前だと思ったよ」

「そりゃどうも。俺もそう思ってた」


さも当然のように言葉を返す空人は俺を見てニヤリと不敵に笑う。


その顔が何故か少年のように見えて、思わず俺も口角が上がる。



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