きみは俺だけの彼女


確かに俺も雪姫の彼氏が海人となれば無理やりでも引き剥がしたくなる。

空人が海人を煙たがってるのは知っていたが何故兄弟でそこまで拒絶するのか気になった。



「正騎は、雪姫なら俺を選ぶと言っただろ?でも、未だに海人の彼女と思ってる奴のが多い理由は分かるだろ?」

「……海人が外堀を埋めてるからだろ?」

「外堀だけならな。あいつは雪姫まで全部埋めるつもりなんだよ」


「…ま……」

まさか、と言いそうになったが飲み込んだ。

海人ならやりかねないと思ったからだ。


雪姫の優しさに漬けこんで彼女役でなく無理やりでも彼女にするつもりか。




「最初は、お前の彼女は斎藤か?と聞かれても否定しなかったんだけどさ、さすがに兄弟3人と噂されたら雪姫が可哀想すぎるだろ?
だから俺と陸人はもう彼女役とか辞めようとしたんだ。
でも、海人だけは拒否した。
拒否したどころか、逆に自分の彼女だと主張しだしたんだよ」




思い出したのは、海人と雪姫を家まで送った日の陸人さんの怒号。



やっぱり雪姫は誰の彼女役もやりたくなかったんだな。



空人と陸人さんは俺を雪姫の彼氏にして、海人を雪姫から遠ざけたいのか?



「……仮に、おれが雪姫にフラれたらどうするんだ?」

「俺が雪姫を守るだけだよ」

当然のように空人が言うから俺も腹を決めた。


「じゃあ、俺がフラれたら、お前の手助けくらいはしてやるよ」

「……お前がフラれたら、な」

ニヤリと笑う空人に、俺もニヤリと笑って返した。



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