きみは俺だけの彼女


なんて考えあぐねていたら、佐藤と雪姫が話していた。


雪姫から海人の名が出ると無意識に眉間に皺が寄る。




雪姫が海人と話しをするだと?



そんな危険を見過ごすわけにはいかなかった。

チラリと空人を見れば、俺と同じことを案じているのがわかる。




でも、俺らが声をかける前に雪姫が振り向き空人に軽く抱きついた。



一昨日の俺だったら嫉妬にかられただろう光景。



雪姫に、お嬢と帰ると言われては空人も何も言えなくなる。

仕方なさそうに雪姫の頭を撫でる空人。




昨日の話を聞いていなければ俺はこんな風に雪姫を見られなかったかもしれない。



「嶋村くんもごめんね」

俺と目も合わせず俯いたまま謝る雪姫。



佐藤に話を聞いて色々と葛藤してるはずなのにそれでも俺を気にかける。

出来ることなら明日の雪姫の誕生日の為にも今は俺や海人の事など気にせず穏やかにしていて欲しいのに………。


< 214 / 263 >

この作品をシェア

pagetop