きみは俺だけの彼女

「桑野は空人と小学校からの付き合いだよな?」

佐藤は桑野の顔を知っていたようだ。

海人と佐藤のように、空人には桑野がいたのか。

洒落た眼鏡をかけた一見チャラそうな桑野。



「ただの腐れ縁です。コイツが突然昼めしに誘うから怪しんだら、先輩方が俺を呼び出したと聞いたんでね」

俺が初めて見た桑野という男は空人をうっとおしそうに眼鏡の奥から睨みつける。



「嶋村先輩にお前を会わせたかったんだよ」

「先輩って言うから、俺はてっきり姫に呼び出されたのかと思ったんだよっ!」



姫……。



「正騎、コイツは無害な雪姫信者だから」

笑いながら俺に桑野を紹介する空人。

「俺は嶋村先輩を知ってましたよ。先輩、空人と海人から姫を守ってくださいね!姫を守るのは騎士なんですから!姫を守る手伝いなら俺、何でもしますから!」



あ然とした。



佐藤を見ると普通に笑ってる。

薄っすらとこういう奴だと知っていたようだ。



「こいつ、こんな事言ってるけど、雪姫には恐れ多くて近付きもしないから」

「そうなのか?というか何故、空人と海人なんだ?俺が雪姫に手を出さないとも限らないぞ?」

「そこは姫の為にも手を出して下さい!」

俺があ然とするより先に
佐藤と空人は腹を抱えて大爆笑してる。




「嶋村良かったな。力強い部下が増えて」

「正騎、頑張って俺と海人から雪姫を守れよ〜」

まだ笑い続ける佐藤と空人のからかう言葉にうんざりした。


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