きみは俺だけの彼女

そして少し強引に控え室に連れて行こうとしたが、雪姫は立ち止まった。



「やだ。空人はやだ」



泣きながら俯き呟く雪姫。



「……雪姫……」


立ち止まって俯いてる姿に拒絶を感じた。


空人の名前には反応した?

俺の声は聞こえているのか?



「空人じゃ やだ。
 嶋村くんじゃないと やだ。
 嶋村くんがいいの」



一瞬、誰の事を言っているのかわからなかった。


でも身体が反応した。



泣きながら訴える雪姫を一人に出来なかった。



俺はここにいる





雪姫を引き寄せ抱きしめた。



「……空人を呼ばないで。陸兄も海人もやだ。嶋村くんが好きなの。嶋村くんじゃないとやだ」



抱きしめた腕の中で泣きながら俺の名前を呼ぶ。


聞き間違いじゃない。


はっきりと俺を好きだと言ってくれた。

俺じゃないといやだ、と泣く雪姫。




自覚した途端、抱きしめた腕に力が入る。



もう離さないとばかりに雪姫の肩に顔を埋める。




「うん。雪姫、誰も呼ばない。俺と一緒に帰ろう」

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