きみは俺だけの彼女
「……雪姫、頼むから泣かないで」
抱きしめた腕を緩めて、道着を掴む手が離れないように少しだけ身体を離して、道着の裾で涙を拭った。
「俺と一緒にいれば平気だから。俺の前で雪姫にそんなこと言う奴いたら雪姫は俺の彼女だ、って言うから」
少しだけ落ち着いたのか小さく頷いた。
「今朝、佐藤も言っただろ?うちのクラスの奴らは俺と雪姫が付き合ってると思ってるんだよ?」
そう言ったら雪姫がピクッと反応した。
「だからそんな噂なんてすぐ無くなるよ。それに、なんでクラスの奴らが付き合ってると思ったのかわかるか?」
雪姫は頭を左右に振る。
その姿が可愛いくてまた調子に乗る。
両手で雪姫の頬を包んでおでこに軽くキスをした。
「俺が雪姫を好きだ、ってことがバレてるからだよ」
目を見開いて一気に顔が赤くなる雪姫。
「だから、俺が雪姫を好きだ、ってこと学校中にバラすからすぐに噂は消えるよ」
目を合わせてそう言うと、雪姫は俯いて返事をした。
「うん」
ダメだ。
可愛い。
また雪姫をぎゅっと抱きしめた。