きみは俺だけの彼女


ふと見ると雪姫はスマホを両手で握りしめていた。



「雪姫、何かあった?誰かから連絡あった?」

そう指摘したら雪姫は素直に頷いた。



雪姫の態度からすぐに思いついた名前を口にした。

「……もしかして、海人?」

名を口にした途端、雪姫は俯いて震えだした。



「ゆ…」
「ごめんなさい!」

雪姫、と声をかけようとしたら謝られた。



「わ、私から、連絡したわけじゃなくて……」

震える声で否定した。


「メールが…」
俺は言葉を遮るように雪姫を抱きしめた。



「ごめん。様子が変だったから気になっただけ。雪姫が海人に連絡したなんて思ってないから」

「……うん」



俺の聞き方が不味かった。

海人なのかと普通に聞いたつもりだが、
つい、苛ついた感じで聞いてしまったみたいだ。

雪姫は俺が怒ってると勘違いしたんだろう。



だめだな。

海人の名前が出るとつい苛ついてしまう。



安心させるように抱きしめたまま頭を撫で、優しく声をかけた。


「雪姫、海人からのメール見たのか?」

無言で頭を横に振ってからたどたどしく声を出した。

「メール、見たら既読ついちゃうから、返事しないといけないから…」

「そうか。……雪姫、嫌でなければ俺も一緒に見ていいか?」

こくん、とすぐに俯く雪姫。



それだけで信頼された気分になって嬉しくなる。



……可愛いすぎる。



俺が海人の存在を気にしてること、雪姫は分かっているから俺に気を使ってくれるとか。

雪姫は優しすぎる。


さっさと海人をどうにかして雪姫を開放してやりたい。


改めて、海人と対峙する決意を固めた。



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