きみは俺だけの彼女
弓道場からの帰り道。
ずっと雪姫は俯いたままだった。
多分、今俺が雪姫の手を握っていることにも気付いてないだろう。
雪姫が俯いたままだから俺が手をひいて帰り道を歩いていた。
付き合うことになったばかりなのにな……。
海人のメールさえ無ければこんなに気不味くならなかったのに。
もうすぐ雪姫の家に着くという所で、ふいに雪姫が手を引いた。
と思ったら、服が何かに引っ掛った気がした。
何気なく見てみれば雪姫が立ち止まって俺のジャケットを握っていた。
「雪姫?どうした?」
俯いてた雪姫は、ぱっと顔を上げて俺を見上げた。
「嶋村くん、話があるから、家に来てほしいの」
突然の申し出に驚いた。
「……え?今?雪姫の家に?」
「うん」
即答する雪姫にも驚いた。
海人からメールが来たときと明らかに表情が違っていた。
何か吹っ切れたような、サッパリとした笑顔。
思わず雪姫を見つめてしまう。
そんな俺の視線に気付いた雪姫の顔が徐々に赤くなってきた。
そして急に気付いたように弁解した。
「あ、あの、今から空人も呼んで3人で話があるの」
「空人も?」