きみは俺だけの彼女
「じゃあ雪姫、グラタンはまた今度ね」
校門を出てすぐ、車道に降りた奏波は迎えの車に乗り込んだ。
「またね」
手を振って車が出るのを見送る。
これがいつもの光景。
「今日はまた違う車だったな」
佐藤が何気なく話し出す。
「この前のはどこのだった?」
空人が返事しながら佐藤の横に並び話しはじめた。
ドキリ。
狭い歩道を歩く私達4人。
前は佐藤と空人。
後ろを付いて行く私と嶋村くん。
でも、嶋村くんは私の横を歩かず、微妙に斜め後ろを歩いてる。
そして私と嶋村くんの間に会話は無い。
そうなるようにしたのは私。
何も言わなくても嶋村くんは私のそばではそうしてくれた。
私にはその嶋村くんの気遣いがありがたかった。