きみは俺だけの彼女


「雪姫?」

空人の声で現実に引き戻された。



「……言いたいことはちゃんと言いなよ。
俺じゃなくて、ちゃんと奏波にね」



驚いて顔を上げ空人を見た。


「分かるよ。
今は俺と正騎と奏波しかいないんだよ?
奏波と一緒にいた雪姫が泣くなら理由は奏波しかないじゃん」



そうか……
そうだよね……



「雪姫。今朝、無理やりな形で雪姫を連れて来たこと覚えてる?
俺と奏波で計画立てたんだよ?
奏波が雪姫の嫌がることを強行しようと思う?」



……思わない。



「奏波嬢は雪姫が一番大事なのわかってるよね?
その奏波嬢が雪姫を放っておいて自分だけ楽しむと思う?」



……この旅行が、私の為?

奏波が私を放ったらかしにして……?



「……この旅行は私の……?」

「そうだよ。だから雪姫は楽しんでくれれば良いの。嫌だと思ったことは奏波と俺にちゃんと言いなさい」



こくん。と頷いた。


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