きみは俺だけの彼女
「雪姫?どうした?」
気付くと空人が横にいた。
いつの間にか俯いていたらしい。
「……グラタン食べたくなっちゃった」
色気より食い気。
そう思われたくてわざとグラタンと言った。
「店を教えてくれるなら今から行くのに」
「ダメだよ。奏波のお気に入りのお店だから。勝手に教えられないよ」
いつの間にか、嶋村くんが前にいて佐藤の横を歩いてる。
「奏波嬢の行きつけ?値段高そうじゃね?」
歩きながら佐藤が会話に入ってくるけどこれもいつものこと。
「私がそんな高いお店に行けるわけないじゃん。目立たない普通の喫茶店だよ。」
他愛もない会話を続けながら歩く帰り道。
いつもは空人と二人で帰ることが多いけど、たまに佐藤も合流する。
小学校のときからずっとこんな感じ。
嶋村くんだけは高校から一緒になった。
1年の時に佐藤と同じクラスになった嶋村くん。
私は隣のクラスだったから1年の時は一人で帰る事が多かったけど、たまに佐藤に声かけられて何度かこうして帰ったりした。