きみは俺だけの彼女
「明日もいっぱい楽しもうね♪
なんなら、別行動でもいいんだよ?」
「別行動?」
「雪姫と嶋村でデート…」
「無理っっ!!」
まさかと思ったけどそういう意味と知って強く否定した。
「そんなの出来ない……というか、そういう風にからかわないで」
「別にからかうつもり…」
「さっき私が言ったことは忘れて!」
面食らった顔の奏波は何事かと思案する。
「さっき言った事?嶋村を好…」
「そう!それ!お願いだから忘れて」
どういう意味?と言いたげな怪訝な顔で見つめる奏波。
多少からかう言葉はあっても私を思ってくれてるのが解るから申し訳なくなる。
「ごめんね。でも、本当に忘れてほしいの……」
私の片想いに嶋村くんを巻き込みたくない。
今まで嶋村くんと関わらないようにしてきたのは私だ。
両想いなんて言葉は無縁だ。
「………雪姫、
嶋村に告白する気は無いってこと?」
「うん」
真面目な顔で聞いてきた奏波に笑顔で頷いた。
なのに、私の返事を聞いた奏波の顔は冴えなかった。
「多分、嶋村くんは空人が私の彼氏だと思ってるはずだから……」
「……嶋村がそう言ったの?」
「だって、そう思うのが普通でしょ?」
「……」
私は空人の彼女役だから。
「だから、何もしないでほしい」
笑顔できっぱり断わったから奏波はそれ以上何も言わなかった。