きみは俺だけの彼女
何の話かと聞いていたが、なるほど。
そういう事か。
あくまでも空人は斎藤が主体だ。
斎藤が小谷と仲良くしてるからこんな風に話したりするけど、多分、斎藤の友達でなければ古谷を相手にする気は無いのだろう。
今まで斎藤の親友だと思っていたのに、学校でしか仲良くしてない古谷に突然不信感を持ったようだ。
俺の仮説を裏付けるように、古谷を見る空人の視線は鋭い目付きに変わっていた。
「……まさか、海人を」
「人をなんだと思ってんのよ。海人?私が?こっちから願い下げよ。」
それまで大人しく聞いていた古谷が吐くように言う。
「……」
「あんたにも興味ないわ。あんたら3兄弟のなんか雪姫の護衛としか見てないから」
バーガー等の乗ったトレイを持って歩きながら話すような会話ではないと、古谷は早歩きで先に斎藤の隣の席に戻った。
俺と空人も空いてる席に戻る。
当然のように空人は斎藤の隣に座った。
それでも一度持った不信感が拭えない空人は珍しく思案顔だ。
それは俺も同じだった。
俺と空人は佐藤を介して顔見知りになった程度の付き合いだ。
だから、空人と古谷が仲良くしようが喧嘩しようがどうでもいい。
でも、
斎藤の親友だと思ってた古谷が、さっきの会話で動揺していたのは明らかだ。
古谷は何か隠してるのか?