きみは俺だけの彼女
まさか、こんなことになるとは……。
旅行当日
言われた時間より早目に来た。
そこにいたのは空人と古谷と運転手と黒塗りの外車……。
……斎藤が古谷と出掛けたくない理由はこの車のせいでは……?
いつも学校前に停まる古谷の迎えの車は普通の乗用車だ。……外車だけど。
でも、この車は……。
どこかの国のお偉いさんが来たのかと思うほど重厚感も存在感もある車。
遠出だからと安全面で選んだのか?
確かにこんな車を狙う奴はそうそういないだろうが……。
面食らっていたら古谷が声をかけてきた。
「おはよう。荷物すぐトランクに入れてね」
空人はちょうど荷物を積んでるところだった。
俺もすぐにリュックを積んだ。
車のトランクの半分以上は真新しい綺麗な箱がいくつもあるが余計な詮索はしない。
俺の荷物を積むと運転手がトランクを閉めて左ハンドルの運転席に戻った。
「よし。完璧」
古谷の声に疑問を持ったが、それより先に空人に忠告された。
「正騎、雪姫が来たらとにかく車に乗る。車が出発するまでは何もしゃべらないで!」
「……はあ??」
「わかった?出発したら話して良いから」
「……どういうことだ?他の奴ら……」
「来ないよ。後は雪姫が来るだけ」
ニコニコしながら告げる空人。