きみは俺だけの彼女
林の遊歩道を抜けると一気に視界が広がった。
オレンジ色に輝く海と太陽。
押し寄せる波は穏やかで心地よい波音を立てる。
沈み始める太陽は辺りを一色に染める。
思わず魅入ってしまう景色だった。
視線をずらすと雪姫の頭が視界に入る。
同じ空間に雪姫が一緒だということを思い出す。
この景色を雪姫と一緒に見られるとは思いもよらなかった。
雪姫も絶景に目を輝かせて魅入っていた。
やっぱり雪姫は可愛いな……。
………。
思わず声に出しそうになった言葉を呑み込んだ。
でも、一度そう思ってしまうとなかなか切り替えられない。
このまま一緒にいたい……。
またさっきみたいに俺の名前を呼んでくれないかな……。
俺が"雪姫"と呼んだらどう思うかな…?
……ん?
……いつの間に俺は勝手に"雪姫"と呼んでたんだ?
でも、古谷や空人のように何気に呼んでも気付かれないか?
いきなり呼んだら変か?
……照れるかな?