きみは俺だけの彼女


そんなことを考えてるうちに、古谷達と少し離れて馬がゆったりと歩いていた。




……俺と二人きりになったら雪姫はどう反応するかな?




そう思った時には馬を止めていた。



……いつ気付く?

……気付いたら軽く駆けて……。

駆け出したら危ないか?

いや、俺が支えれば……。

………抱きしめて駆けたら?

雪姫は……?




思わず目の前の雪姫の後頭部を見つめる。


ーー俺の存在に気付いてほしいーー


そう願った時、振り向いた雪姫の瞳が見えた。


目が合った。
瞬時に気持ちが先走る。


わざと耳元で声をかけ、思い切り抱き締めて馬を駆け出した。




空人らの側に着いても腕を軽く支えたままにした。


古谷は俺を睨みつけ、空人は雪姫に声をかける。

後ろから覗き見ると、顔を真っ赤にした雪姫がいた。




思わず口元が緩む。



< 60 / 263 >

この作品をシェア

pagetop