きみは俺だけの彼女
「……でもね〜、その後の雪姫を見てたらちょっと違うかな?って思った」
「……」
「……俺ら兄弟のせいで雪姫は昔から色々あってさ……。
でも雪姫は心配かけないようにいつも明るく振る舞ってたんだよね」
「……」
「でも弓道辞めた後の雪姫は……
まぁ、無理に笑わなくなったというか……
弓道も他のこともどうでもよくなったというか……
なんか色々諦めた感じに見えたんだよね……」
その頃を思い出してるのか、窓の外を見るような、いつもと違う雰囲気の空人が目の前にいた。
そして俺も、高校の廊下で見かけたいつも一人の雪姫を思い出した。
「でもさ、俺が入学して雪姫の教室行ったら雪姫の態度がちょっと変わってた。
最初は奏波嬢と同じクラスになれたからだと思ったけど……なんか違ったんだよな〜」
「??」
「なんでかな〜と思ったら、嶋村って名前の先輩がいた」
そういや、コイツ、俺の名前知った時……。
「……だからあの時、お前驚いてたのか?」
「そうだよ。まさか佐藤の友達にいるなんて思わなかったからね」
「……」
まさか雪姫と俺の接点を知っていたとは……。
「なのに、雪姫も正騎もお互い知らないフリしてるのは何故なのか?」
そこまで言って空人は人懐っこい笑顔を向けた。
「少しは俺とお嬢に感謝してよね」