きみは俺だけの彼女
「陸人さんって弟いるんですか?」
「弟2人いるよ。3兄弟だけど、雪姫も赤ちゃんの時から一緒だから3兄弟+妹って感じだね」
陸兄は幼馴染みのお兄ちゃん。
私と同じで小学生の頃から弓道場に通っている門下生だ。
でも当時は高校の部活でしか来なかった。
陸兄が部活の日はいつも一緒に家まで送ってくれていた。
そのうち嶋村くんも加わって3人で帰るようになったらもっと仲良くなった。
けど、私は中学3年になる前に道場通いを辞めた。
表向きは高校受験を理由に。
でも実際は、嶋村くんが理由だ。
嶋村くんを好きになったから。
好きになったと気付いたから離れることにした。
これ以上、好きになりたくなかったから。
私にとって、学校の知り合いがいない道場とその帰り道は一番特別な時間だった。
学校での私は……
学校中の女子から嫌われるような存在だ。
"両想い"
私にとっては無縁の言葉。
私を好きになってくれる人なんていない。
幼い頃にそう思い知っていた私は初恋を忘れることにした。
初恋は実らないーーー
だから好きだった特別な時間を捨てた。