きみは俺だけの彼女




「なんで今日は先に帰らなかったの?」



委員会が終わって合流した空人。
そのあといつものように皆んなで帰って、さっきコンビニの交差点で嶋村くんと別れた後だ。

いつものように軽く話かけてきた空人。
でも、何か言いたげなのがわかる。


「空人がいないからだよ」

努めて明るく言ってみる。
多分、空人は分かってて私に聞いたんだと思うから。


「……正騎と二人にはなりたくない、ってこと?」

「分かってるなら聞かないでよ」

「……それは、正騎を信用してないってことなの?」

「え?」

まさか、と言おうとした。
でも言えずに飲み込んだ。



あの時……。

空人を待つと言った時の嶋村くんの顔を思い出したから。

私は嶋村くんに迷惑をかけたくなかったから一緒に帰るのを拒否した。
それが良いと思ったから。

でも、嶋村くんから見たら……。
私が嶋村くんを信用していないと思ったかもしれないんだ……。
あの時一瞬だけ陰った顔……。


そんな風に思われるなんて考えつかなかった。

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