きみは俺だけの彼女
「………」
「俺が正騎と仲良くなったから、だから仕方なく正騎と話すようになったの?」
「違う」
「じゃあなんで?」
そう問いかける空人はズルいと思う。
あぁ。そうだ。
いつもこうやって空人に諭されるから
だからいつも空人の前では泣いてしまうのか……。
「ズルいよ。空人……」
立ち止まって俯く。
涙が勝手に溢れる。
「信用してるの分かってるくせに……
そんな言い方しなくても……」
「……うん。ごめん」
「私は……ただ、嶋村くんに迷惑かけたくなかったの……」
「……家まで送ることが正騎に迷惑かけると思ったの?」
「違う。嶋村くんが私のこと思って言ってくれてるのは分かってる。でも、私が一緒に帰っていいのは宮田家の3兄弟だけなの」
「……雪姫」
「私は誰に何を言われても慣れてるから別にいい。でも嶋村くんに、私のせいで変な噂立てられたくない」
「……そんなこと心配してたの?」
「そんなこと?……そうだよ。嶋村くんにそんなこと心配しないでいいって言われても私が嫌なの!
私は嶋村くんの彼女役なんて演りたくない!」
言いたいことだけ言って私は逃げだした。