きみは俺だけの彼女



国道のコンビニが見えた時、店先で男二人と制服姿の女の子らしき人影が見えた。



「雪姫っっ!!」



雪姫の姿を確認した空人が叫ぶ。
俺は雪姫達のすぐ側まで必死に漕いでチャリを横に付けた。




「あ!空人じゃん」

男が先に声をかけてきた。


「はあ?あんた誰?」

男二人と雪姫の間に割り込みながら空人は男らを睨みつける。


「あ、空人?嶋村くんも」

突然現れた空人に驚いた雪姫。
一瞬、俺と目が合った雪姫は明らかにホッとした表情だった。
それを見ただけで、俺は怒りが込み上がり奴等を睨みつける。


「睨むなよっ。俺ら海人のダチだよ」

「……海人の?知らねぇな。テキトーな事言ってんじゃねぇだろな?」

「マジだって!!なぁ斎藤」



ガチギレの空人は雪姫の名前が出たからか、少しだけ冷静になり雪姫に振り返る。

「雪姫、コイツら知ってる?」

「あの、中学の時の同級生…だと思う」

「……思う?」


困った表情の雪姫を見れば明らかに知ってる顔の男では無いと分かる。



「さっき斎藤にも言ったけど、俺ら斎藤とクラス違うから!海人と同じ水泳部の同級生!ナンパじゃないってば!」


「……あ。…副部長?、さん?」

水泳部で思い出したのか雪姫が呟いた瞬間、安堵のため息が聞こえる気がした。


< 98 / 263 >

この作品をシェア

pagetop