好色歯科医が初めて真剣な恋をしました

控え目で　わがままを　言わない真美も

少しずつ　駿平に　気を許していた。


「先生。ご飯できたよ。運ぶの　手伝って。」

自然に　駿平に　声をかける自分に

真美は　驚くことが　あった。


実家にいた頃から　母にさえ　

真美は　何かを　頼んだことがない。


もし真美が　母を頼れば　

母は　喜んで　手伝ってくれると思うけど。


母自身が　何でも　１人で　やってしまうから。

真美も　いつの間にか　母を頼れなくなっていた。


「おっ。今日も　美味しそうだね。」

駿平は　嬉しそうに　料理を運んでくれる。

「うーん。味は　あんまり自信がないの。」

「どれ？うん。美味しいよ。大丈夫。」

料理を運びながら　摘まみ食いをする駿平に

真美も　笑顔になってしまう。


『先生と一緒の時間が　こんなに楽しいなんて…』

真美にとって　駿平は　特別な存在だったから。


真美が　経験したことが　ないような

贅沢な場所での　デート。

高級な店での　買い物。


でも　一緒に過ごす駿平は　あまりにも普通で。

真美の作る　素朴な料理を　喜んで　食べて。


真美は　駿平と　家で過ごす時間が

自然で　幸せで　伸び伸びと　寛げるようになっていた。