こちら、陰陽相談所~"妖怪"は目に見えなくてもちゃんと存在するのです☆~
「近くまで来たら連絡してほしい」と,嵯峨野から言われていたことを覚えていたので,美咲は登録しておいた相談所の番号をコールした。
電話はすぐに繋がったので,美咲は淀みなくこう告げる。
「五時から面接にお伺いすることになっている堀田です。今,そちらの近くまで来ているのですが……」
『そうですか。分かりました。――では,案内役のものをすぐに行かせます』
今どのあたりなのか訊かれた美咲は,町名プレートが貼られた電柱の前だと伝えた。
――一分も待たなかっただろう。確かに,彼女のところへ"それ"はやって来た。
ふよふよと宙に浮いている,謎の浮遊物。
「おっ……,鬼火!?」
美咲も何度か目にしたことがある,火の玉のような妖怪(らしきもの)。確か,死者の怨念が具現化したものらしい。
けれど,この鬼火からは怨念めいたものは感じなかった。――むしろそいつは美咲のことを認識しているようで,ある方向へふよふよとゆっくり移動しようとしている。
もしかして……。
「――えっ? あたしに『ついて来い』って言ってるの?」
こいつが嵯峨野の言っていた,"案内役のもの"なのだろうか?
(確かに,発音だけなら"物"も"者"も同じ"モノ"だもんね。嵯峨野さん,ウソは言ってないか)
美咲が一人で納得していると,鬼火はそれに構わず(?)ふいーっと飛んで行こうとする。それに気づいた彼女は我に返った。
「……あっ!? ちょっと待ってよ! 置いてかないでよっ!」
慌てて鬼火を追いかけようとする美咲だったが……。
(しまった! スニーカーで来ればよかったな……。まさか走ることになるなんて思わなかったから)
電話はすぐに繋がったので,美咲は淀みなくこう告げる。
「五時から面接にお伺いすることになっている堀田です。今,そちらの近くまで来ているのですが……」
『そうですか。分かりました。――では,案内役のものをすぐに行かせます』
今どのあたりなのか訊かれた美咲は,町名プレートが貼られた電柱の前だと伝えた。
――一分も待たなかっただろう。確かに,彼女のところへ"それ"はやって来た。
ふよふよと宙に浮いている,謎の浮遊物。
「おっ……,鬼火!?」
美咲も何度か目にしたことがある,火の玉のような妖怪(らしきもの)。確か,死者の怨念が具現化したものらしい。
けれど,この鬼火からは怨念めいたものは感じなかった。――むしろそいつは美咲のことを認識しているようで,ある方向へふよふよとゆっくり移動しようとしている。
もしかして……。
「――えっ? あたしに『ついて来い』って言ってるの?」
こいつが嵯峨野の言っていた,"案内役のもの"なのだろうか?
(確かに,発音だけなら"物"も"者"も同じ"モノ"だもんね。嵯峨野さん,ウソは言ってないか)
美咲が一人で納得していると,鬼火はそれに構わず(?)ふいーっと飛んで行こうとする。それに気づいた彼女は我に返った。
「……あっ!? ちょっと待ってよ! 置いてかないでよっ!」
慌てて鬼火を追いかけようとする美咲だったが……。
(しまった! スニーカーで来ればよかったな……。まさか走ることになるなんて思わなかったから)