こちら、陰陽相談所~"妖怪"は目に見えなくてもちゃんと存在するのです☆~
「ハローワークもあんまりアテになんないしなあ……。ネットで探すのが一番手っとり早いよねえ」
 美咲はあらゆる求人情報を網羅(もうら)しているという総合求人サイトを,片っ(ぱし)からチェックしていた。
 できることなら,自分の特技を仕事に()かしたい。――高校卒業前から,そう思って就職活動をしてきた。
 実は彼女,中学時代からパソコンに精通(せいつう)しており,WEB(ウェブ)関係の仕事に()きたいと思って就職活動に(いそ)しんでいたのだ。
ところがそれはうまくいかず,生活のためにとりあえず始めたカフェでのアルバイトだけで手いっぱいになり,そちらの方はすっかり諦めかけていたのだった。
 とはいえ,カフェでの仕事もおざなりにしていたつもりはなかったのだが――。
「――ん? よろず……相談所?」
 美咲がその求人情報に目を()めたのは,果たして偶然だったのか,必然だったのか。

『よろず相談所 アシスタント募集
 日給七,〇〇〇(ななせん)円 別途(べっと)交通費支給
 PCのスキル有りの人・武道有段者優遇
                 嵯峨野(さがの)よろず相談所』

 ――まさに,美咲のためにあると言っていいほどの好条件である。
 ただ,この内容だけでは肝心(かんじん)の仕事内容がどんなものなのか,全くもって分からない。
 さしずめ,「詳細(しょうさい)は面談で」ということだろう。――つまり,面接を受けなければこの求人情報の(なぞ)()けないということだ。
 けれど,美咲にとっては"(わた)りに(ふね)"だった。思い立ったが吉日(きちじつ)というし。
「こういう職種なら,応募する人少ないだろうし。簡単に採用されそう♪」
< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop