マシュマロベイビー
…わけわかんない。
わけわかんないのに…。
…
大通りは人が多くって、
ざわざわ。
すれ違うだけの人たちの声が
後ろに流れていく。
繋がれた右手があったかくって、
熱があるみたいに
フワフワしてて、
現実味がない。
「送る」
あんまりこっちを見ない奏ちゃん。
会話は少ないのに、
階段でも
奏ちゃんの手に引っ張られてるみたいに
チカラが入らなくて
ずっと、繋いだ手に
心がしびれてた。
「時間大丈夫?」
「うん」
なんて答えて…
意味もなく街を
ブラブラするみたいに
離れられなくて
ずっと2人でいた。
街灯の少ない路地で
駅のホームで
川沿いの公園で
何度も何度も
奏ちゃんと
触れるだけのキスをした。
パラパラ。
雨が降り出して
閉まっているお店の軒下で
雨宿りして
キスした。
どうしても
離れがたかったの。