マシュマロベイビー
どういう意味?
あ、顔に
ホッとした気持ちが
出ちゃってたってことかな。
なんでか
さっきの電車内での沈黙が
嘘みたいに
喋る2人。
17歳で同い年なこと。
アラタの降りる駅は、1つ向こうなこと。
アラタもバイトしてて、
萌のバイト先と近かったこと。
暮れて暗くなり始めた景色が
2人の顔も少しずつ隠してくれて
何だか、初めて会った人
まして、初めて会ったオトコのコ
だなんて、思えないくらい
普通にいっぱい話せた。
萌のスマホが鳴って。
ママから
『何時ころ、駅に着く?
迎え行くよ』
ってライン。
だから、返事打とうとして
『大丈夫。』
…その後に
『男友だちが送ってくれてるから
大丈夫』
そう、打ってもいいかな。
打ってみたいな。
萌はそんなこと思ってしまった。
今まで、
男の子は
ほんっっと。嫌いだし、
友だちになるとか、考えたことも
無かったけど…
アラタとなら…友だちに成れたり
しないかな。
だって、このひと
全然、わたしの胸とか見ないし。
(普段見られることに慣れているのでわかる)
ほんとは、わたし。
あの、男の子同士のワイワイする
楽しそうなの
憧れてるんだよね。
男の子は嫌いだけど、自分も
男の子だったら
あんな風に何も気にせず笑いあったり
できるのに…って。
萌はアラタの横顔を見る。
「ん?」アラタが言う。
「マ、お母さんが
帰り道心配して、迎えに行こうかって。
だから…」
急すぎるかな?厚かましい?
萌は言ってみた。
「男の子の友だちが送ってくれるから
大丈夫。
そう打ってもいいかな」
期待するような表情の萌。
「何、わざわざ許可取ってんの。」
「いいよ」
そう言って
アラタはまた
あのかわいい顔で笑った。